St. Louis Bluesは、今でも結構歌われ、演奏され、レコーディングされている曲ですが、100年以上前、1914に書かれたたいへん古い曲です。1914と言えば、まだレコードも一般化していない頃で、ヒット曲は楽譜で売られていたのです。これはその当時の楽譜の表紙ですね。

St. Louis Bluesは初めて売れたブルース

St. Louis Bluesと、題名にブルースとつけられているように、この曲はブルース形式で書かれています。このブルースという言葉も、いろいろな意味合いで使われますが、ジャズでは主にその音楽形式の意味で使われます。このことについては、また別の機会に詳しく書いてみようと思いますが。
まあとにかく、この曲あたりがジャズ スタンダードと言われる曲では、最も古い曲の1つで、またブルース形式で世に出た最初の曲、ということになりますね。

1920’ ~ 1950′

ジャズスタンダードのほとんどは、1920’~1950’くらいに書かれています。このSt. Louis Bluesのように、いわゆるヒット曲として書かれ、ティンパンアレイで売られたものや、ガーシュウィン物のようにブロードウェイで出たもの、さらにはハリウッドで映画用に作られた曲などが主な出処です。
ですのでジャズという音楽自体が「過去に作られたもの」であり、ちょうどクラッシック音楽の様な位置づけになりつつあるわけです。しかしジャズの場合、そのオリジナルメロディーは同じでも、演奏の仕方、歌い方、などが時代とともに変化してきますから、常に新しい音楽である、という捉え方ができるのですね。

そもそもジャズスタンダードって、何曲あるの?

と、これは本当によく聞かれる質問ですが、ジャズスタンダードの明確な定義はありません。が、大雑把に捉えて、約2000曲くらい、と言っていいでしょう。とすると、一生かけても出会わない曲も多いわけで、ある程度自分の指向性というものも持つべきだ、ということがわかります。
下の写真は、ジャズスタンダードの楽譜として有名な、リアルブックですが、1冊に400曲くらい載っています。

音楽のジャンル分け

自分の好きな音楽かどうか、ということが問題なだけで、ジャンル分けなんて必要ない、という意見が昔からあるのですが、いろんな意味で便宜上、ジャンル分けがあることで重宝していますね。ただしそれぞれのジャンルの明確な境界線はなく、ジャズの場合は、ブルース、ポップスタンダード、ボサノバあたりとはかなり被ることになります。

ポップスタンダード?

日本の音楽界ではこのジャンル分け名を使っていませんが、アメリカのアマゾン等ではこのジャンル名が使われています。例えばプレスリーのラブ ミー テンダー、ジョンレノンの イマジン、ビリージョエルのニューヨーク ステイト オブ マインド 等がポップスタンダードと言われるものです。つまり、ジャズと同時期に流行った、誰もが知っている曲、ということですね。
僕の場合は、自分のレバートリーからしても、ほぼこのポップスタンダードに入るものが多く、ジャズ歌手というよりは、むしろポピュラー歌手を目指しています。現在94才で大活躍中のトニーベネットも「私はポピュラー歌手です。」と明言していますね。トニーほどのジャズっぽい歌手ですら、そうなんです。歌手としての立ち位置を、ジャズという枠だけに狭めたくないんですね。

ジャズの新作はないの?

そんなことはありません。ノラ ジョーンズのドンノゥウァィや、ヘイリー ロレンのウーマンズ
ウェイなどは新たに書かれた曲で、ジャズ曲として扱われています。が、ジャズスタンダードというジャンルには入らないですね。

僕個人的には、アラスカ出身のヘイリー ロレンという歌手がかなりいいと思っていますが、今一つ人気が出てきませんね。男性歌手ではトニー デサロという人もいるのですが、やはり現在のジャズ界でのビッグネームは、ダイアナ クラールと、ノラ ジョーンズですね。

投稿者: Nao Suganuma

ジャズミュージシャン、ピアニスト&シンガー。Nao Suganuma Jazz Lesson主宰

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください